事業への想い

私が「つみきの家」の構想を考え始めたのは、実は26歳の頃でした。

この物語は話せば長くはなりますが、当時まだ23歳の大学院生であった私が、思いがけずして倒産寸前の住宅型有料老人ホームの再建を託されたところから始まります。今振り返ってみれば、普通は逃げ出すような状況だったと笑ってしまいますが、当時の私は、「ありがとう」と言ってくるおじいちゃんやおばあちゃんを見捨てることがどうしてもできませんでした。とはいえ、介護の知識や経験のない23歳。再建を担うという決意を胸に、仲間に恵まれた幸福と気合と根性だけを頼りに、ほぼ住み込みで文字通り夜通し働きました。

幸いにして、1年が経過する頃には再建は果たされ、25歳の時には新たな老人ホームの事業開発を任され、事業計画策定や資金調達、建築など関わる全ての業務を遂行しました。今振り返ってみても、このような機会を与えてくださった当時の社長には感謝してもしきれません。そんな当時のプロジェクトはあっという間に開業を目前に控え、気付けば私は26歳になっていました。そしてこの新しい老人ホームの内覧会兼入居相談会で出会ったご家族との対話が、「つみきの家」の基本構想を真剣に考え始める機会になったのです。

そのご家族とは、要介護認定を受けていない比較的お元気な親の入居先を探している方々でした。ただ残念なことに、当時私が企画した老人ホームでは受け入れすることができませんでした。介護事業を営んでいる方はご存知の通りですが、老人ホームは「要介護度の区分認定が重度の方」を受け入れれば受け入れるほど経営は安定しやすくなります。私が企画したプロジェクトも主な入居対象者は要介護認定3〜5を受けている方だったのです。ただ、お話に耳を傾けてみると、「一人暮らしでは心配だから老人ホームを探しているのに、入れるところがどこにもない。こんなに老人ホームが建設されているのに、どういうことなの?」と、半ば呆れた様子でこれまでの苦労を語ってくださいました。「お力になれず申し訳ございません」としか言えなかったのが、とても悔しかったことを今でもよく覚えています。

ただ、この対話の中で、「元気な高齢者やお金のない高齢者、身寄りのない高齢者を受け入れてくれる場所がない」ことに対して強い課題意識を抱き、「なんとかしないといけない!」と、一人勝手に想いを膨らませ始めたところが、後に「つみきの家」を生み出すためのきっかけとなったのです。

そしてその後、良縁にも恵まれ、2019年8月に「つみきの家 福島・佐倉下」を開業することができたのです。当初は、「元気な高齢者やお金のない高齢者、身寄りのない高齢者を受け入れる場所」として開業したものの、蓋を開けてみれば高齢者だけでなく、障害を抱えている方や若年層まで、多様な方々が「つみきの家」のことを必要としていました。この状況は正直全く想定していませんでしたが、結果的にお困りの方々の力になれたことをとても嬉しく思っています。

とはいえ、「つみきの家」を運営していると、見えてくるまた別の課題があります。そうした課題を、「つみきの家」を開業してきたこの経験を活かして解決していけるよう励みながら、この場所をより良い場所にしていこうと思っています。

この物語を詳しく聞きたいという方はぜひお気軽にお尋ねくださいね。

一般社団法人つみきの家
代表理事 藤原 光一郎

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